カテゴリー「書籍・雑誌」の12件の記事

『上杉景虎』

ご無沙汰です。きっかし一ト月ぶりの日記更新となってしまいました。

おかげさまで、痛めていた右足の方は大分良くなってきております。
結局MRIで検査したところ、尾てい骨に近い二箇所で椎間板ヘルニアとなっていました。診断ミスとは断言できませんが、やはり最初に行った整形外科で受けた治療(電気パルス)が神経を傷めてしまったのかなと思っています。問診もずいぶんおざなりな感じでした。
そこは新しくできた医院だったので行ってみたのですが、二度目は色んな方の評判を聞いてから別の整形外科へ。最初からこちらに行けば良かった…。医者は建物じゃ判断できませんね(苦笑)。

ということで、完治ではないのでまだ山歩きとかはダメですが、年末と1月まるまる出かけられなかった分、2月は少し出歩きたいと思っております。とりあえずは、金沢文庫の運慶展ですかね。横浜市歴博の戦国期のかわらけに関する展示には、講演会に合わせて行こうかとも思ってますが未定(内容は、それぞれ過去のシンポなどで既出のものだと思われます)。

戦国関東のかわらけ研究は、西国出身の北条家中においては京系かわらけの作風をもって儀式における権威付けがあり(小田原の在地系かわらけも併存発展し影響をうけるなどしている)、年代的な作風の変化も明らかになっていますが、両上杉氏や公方においての同様な意味づけはまだ疑問とする考えが多いようです。

横浜市歴博の案内を見る限りですと、今回の展示は、鎌倉から江戸初期に至るまでの南関東のかわらけの変遷を概観するもの。それに横浜市域の茅ヶ崎城や小机城、昨年度調査された伊勢原市の丸山城の成果等を交えて、現在の南関東のかわらけ研究の最前線を紹介する、といったところでしょうか。
http://www.rekihaku.city.yokohama.jp/kikak/detail.php?ak_seq=105


タイトルの内容に全然触れず、つい連々と書いてしまいました。
久々の書き込みということでお許しください(汗)。

さる1月27日、宮下さんの所(宮帯出版社)から『上杉景虎 -謙信後継を狙った反主流派の盟主-』(著:今福 匡)という本がでましたので宣伝まで。
ここでは今更書くまでもないと思いますが、上杉謙信の後継者争いである「御館の乱」で敗死した上杉景虎(北条三郎)の伝記と現在における評価を取り上げた一冊です。
この方、歴史ドラマの中や小説作品では意外と目にする機会が多いように思いますが、評伝に類するものでは小論くらいしか出ていなかったのではないでしょうか。まあそれだけネタが少ないというのもあるでしょうが。
実は1年ほど前から出る話は聞いてましたが、色々な事情で遅れたようです。

まだパラパラとしか読んでませんが、あとがきで作者が述べているように、景虎の事跡というよりも副題の方が正しい内容ではあるようです。
巻末には景虎事跡に関する年表と文書が意訳付きで掲載されています。
目新しい新出の内容というものは無さそうですが、最近までの関係書籍・論文等を広く適選まとめているようです。
文章は平易ですし史跡や遺物の写真も結構載ってるので、上杉景虎の概要を知るには手軽で便利な一冊という印象を受けました。
1,890円です。
興味ある方、良かったら手にとって買ってあげて下さい。
http://www.miyaobi.com/publishing/products/detail.php?product_id=730

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サブカル系戦国2 萌?なのか?

そして、もうひとつ。

『戦国美麗姫図鑑』

いや、凄い題です(笑)。
こちらは平積みではなく背表紙だけでしたが、さきの『歴女』に連動してか、そう離れた場所になかったのですぐ目に入りました。

で、試しに抜き出してみると表紙がまた凄かった…。
こちらをご覧ください。

『戦国美麗姫図鑑』(著・橋場日月、編・戦国萌姫研究会、PHP研究所)
http://mainichi.jp/enta/mantan/graph/book/20090611/
○内容紹介
戦国時代の姫君100人を史料をもとに現代の絵師たちが美麗にビジュアル化! 絶世の美女、無敵の女将、智略の才女…
強く、儚く、美しい彼女たちの出身地、生没年、家柄、登場史料などのプロフィールを網羅!!
武将にくらべあまり知られていない姫たちの秘話、逸話やトリビアも紹介!
歴史ファンも資料としておさえておきたい一冊です。 収録の姫君たち(一部)
瀬戸内のジャンヌダルク/大祝鶴姫 愛され出戻り娘/伊達五郎八 歌舞伎になった美しき姫/武田 菊 愛と憎しみの逃避行/北条院殿 太閤最愛のセレブ姫 前田 豪 不遇の夫を支える賢妻/大谷竹林院 他
カバーイラストは笠井あゆみ先生の萌バージョンが見参!!美麗ピンナップつきです。
絶世の美女、無敵の女将、智略の才女…。史実、伝説に記された武辺、美貌の姫君たち。出身地、生没年、家柄、登場史料などのプロフィールを網羅。姫君たちの秘話、逸話やトリビアを紹介。


と、色々とインパクト(疑問)あるコピーが並びます。
大三島の大祝の娘がジャンヌダルクと比べられるという超越の比較視点には驚きました。
そもそも、出身地や家柄で「強く儚く美しく」ってされてしまうのはどうかと。
サラリと書いてますが、ピンナップ付きの歴史ムック本。

PHPが出しているというのもちょっと意外でしたが。

中身は、右ページにそれぞれの姫の逸話や系譜の紹介。左ページにイラスト(それぞれ異なる作家が描いている)。
一つの見開きにつき一人を扱っています。
文章の方は歴史雑誌などでコラムなど執筆をされている方のようで、内容は特に奇をてらったものはありませんでした。
今川氏真に嫁いだ北条氏康の娘(早川殿)も載っていたのには、ちょっと感心しましたけど。
新紀元社の「Truth In Fantasy」シリーズを萌系イラスト(?)で構成してみたら…、というところでしょうか。
当世の“萌え”に相当するスタイルが分からないので判別できませんが、たぶん若い男性を主なターゲットにしているのかと思われます。
ただ、キャラクター描写は時代考証を気にしてないというか、殆どファンタジーです。
ゲームキャラのようなのを想定して描いているのかもしれません。

こちらでも若干の紹介がされています。
http://news.walkerplus.com/2009/0612/12/

どういう反響があるのか試しにアマゾンでレビューを見ましたら、意外と好評価。
まあ、イラスト中心な本かと思ったら以外に真面目な内容だった、というギャップがそう印象付けてるのかもしれません。

そしてさらに、“この商品を買った人はこんな商品も買っています”の欄を見ると、こんなのも。

『戦国“漢(おとこ)”絵巻 (コミック)』(編・学習研究社)
http://www.gakken.co.jp/moegi/special/soe0906.html
○内容紹介
描き下ろしイラスト満載で詳細解説。戦国武将プロフィールブック37人。萌えるエピソード&4コマ掲載。聖地巡礼のお供に、ゆかりの地紹介。本格歴史ライターによる解説&甲胄作り収録。


上の本の武将版ってトコでしょうか。
こちらはコミックスの体裁で学研から。
大手ばっかじゃないか(笑)。


あと、他にもこんなのないもんかと適当にポチポチしてましたら…
こんなのも(笑……汗)。

『イケメン戦国武将忠義編 (SESAME BOOKS) (コミック) 』(著・男前戦国武将研究会、ゴマブックス)
(ほかに『情愛編』『友情編』あり)
http://kimasas.exblog.jp/11827743/
○内容紹介
信長と利家の、愛が濃すぎる忠義関係(池上小五)
三献茶の真実~三成の機転がピンチを救う!?(大竹直子)
家康の危機を救った伊賀忍者・服部半蔵(武浦すぐる)
鉄砲に怯えた幼少の北条氏康(冨永逸生)
大友宗麟を友として支える立花道雪(宮明睦恵)
銃に散った三好義賢(ALFRED少尉)
九度山で幸村への忠誠を確認する猿飛佐助―(屍のぼる)
第六天ニャ王 ノブニャガと部下の日常(ここなっつ)


まあ、内容はBL(たぶん肉体的なのより精神的なものが主流かと)のアンソロジーコミックスなのだと思いますが。普通に。
一応、歴史上人物をネタにしているのだから、大荒れはしていないのではないかと想像。
それよりなにより、タイトルが開き直りすぎ(笑)。
編集者さんの勇気にひとまず拍手しておきましょう。

今まではサブカル系な戦国ムックって、城の復元イラストとか戦史的(どれも執筆者の主観がかなり入ってそうな印象…嫌いでないですが)な内容満載な学研の『歴史群像』あたりが独走してた感じしますが、そういうのは専ら若い男子が購読していたと想像します。
入口の広さは、初期の『歴史群像』の方が『ムー』らしさあったりで、サブカル系雑誌としての面白さはあったと思うのですけどね。
歴史ミステリーなるじゃんるも定着している今では、その辺一線引く事になってしまいそうですが。

さて、こういうブームを見ていると、そろそろ女性向けな歴史雑誌も出たりして??なんて気もします。

あ、また横道に逸れ過ぎてしまった・・・
それは置いといてと。


『戦国美麗姫図鑑』を手掛けた「戦国萌姫研究会」、そして
『イケメン戦国武将』を手掛けた「男前戦国武将研究会」。
どちらも語呂をダブらせないあたりに遊び心を感じます。

興味深く感じたのは、上の本は皆今年の6月から7月の間にかけて発売されたという点。
タイミングになにか意味があるのでしょうか?

さて、時代の奇書となるか黄書となるか。
ま、同人誌やマンガのカテゴリーでは珍しくもなんとも無いんだろうけど。

来年あたり古書店の100円コーナーにあったら記念に買うかもしれない。
(手がけた方には失礼な事言って申し訳ありません)
絵柄はどれも余りタイプではないのです。
個人的には山口将吉郎さんの武者絵なんかが好きなのです。


あと、男色趣味があったと噂される高畠華宵さんの絵なんかは今でも色気を感じます。今の人に受けるか分かりませんが。
華宵美人と言われるだけあり女性絵(独特の風貌より細密な着物などの描写が美しいと思う)が多いですが、男子の絵もあり、大変艶めかしいです。
http://www.amazon.co.jp/%E9%AB%98%E7%95%A0%E8%8F%AF%E5%AE%B5%E3%83%BB%E7%BE%8E%E5%B0%91%E5%B9%B4%E5%9B%B3%E9%91%91-%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E7%B7%A8%E9%9B%86%E9%83%A8/dp/4582633889/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1246642051&sr=1-1

こんなの(↓)にも収録されてそう。

http://www.amazon.co.jp/%E6%98%AD%E5%92%8C%E7%BE%8E%E5%B0%91%E5%B9%B4%E6%89%8B%E5%B8%96-%E3%82%89%E3%82%93%E3%81%B7%E3%81%AE%E6%9C%AC-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E5%9C%AD%E5%AD%90/dp/4309727298/ref=pd_sim_b_4


ま、それより、中学時代に軽く震えながら(やはり伊勢治書店で)一人立ち読みした雑誌『夜想』や『銀星倶楽部』を読み返してみたい衝動が感じられた今日この頃。(どんなこの頃ですか)

ちなみに私は少年趣味も同性趣味もありませんので悪しからず。

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サブカル系戦国1 歴史アイドル?

昨日、地元の書店「伊勢治書店」でサンカ関係の本を立ち読みしていましたら、こんな本が平積みしてありました。

『歴女 私の愛する戦国武将』

美甘子さんという歴史アイドル(?)が書いたもののようです。
以前、CSの「旅チャンネル」では鉄道アイドルなる方が出ていましたが、こんな方もいたのですね。
アイドルやマスコットキャラクター、等身大の置物など、色々と二次元から三次元に出てくる面白い国です。いや、皮肉ではなく感心しています。

嗜好性が分化されてきたのに伴って、芸能も世間一般に広く受けを狙うだけでなく、こうした特化ファンをターゲットにする傾向が今後も出てくるのでしょうか。
趣味の共感性からコアなファンが育てば、ブームの高まりとともに知名度も上がりますからね。
本業からアートや趣味、サブカル方面に“売り”をシフトした芸能人は多いですが、その逆バージョンとも言えましょう。
長短の差はあれどもアイドルというのは期間限定商品みたいなものでしょうが、こういう方たちは知名度(というか話題度)が落ちてもブログなどで自己発信力がありそうですから、暫くは活動できそうな気もしないではありません。

ブログを拝見しましたが、時代祭りの姫役とかで登場したりもなされているようです。
これは、うまい営業法かもしれません(笑)。
雇うイベント側としては、有名芸能人より安くあがりそうだし、役についてもしっかり勉強してくれそうだし、ファンが勝手にネットとかで宣伝もしてくれそうなメリット。
事務所としては、キャラクターをそのまま売れるのと、イベントの集客を宣伝に結び付けられる。
手広くやるより、特定のイベントの常連になるとかの方が好印象になるような気がします。

さて、こちらがその本。
リンクは当人ブログの本紹介している箇所。
(宮下さんとこの黒田家本が隣に置いてあるw)

『歴女 私の愛する戦国武将』(著・美甘子、ビジネス社)
http://ameblo.jp/mikako426/entry-10288257394.html
〈内容〉
世に草食男子がはびこる反動か、
「戦国無双」や「戦国BASARA」といった戦国ゲームにはまる「歴女」(レキジョ、歴史好きな女性)が急増している。
そのトップを走る美甘子が、滅びし戦国武将への熱い思いを記す!
巻頭カラーページと、各章末にイラスト新聞「歴女通信」を加えた充実の1冊。
歴史アイドル美甘子が戦国武将、石田三成・直江兼続・小西行長をピックアップ、その人物の一生を描く。


しかし、当の歴史好きな人への受けがどうか。
反発する人も多いんだろうなあ。
鉄道アイドルもそんな感じがしましたし。
コアな趣味だけに“新参者が大きな顔するな!”と癪に障ったのでしょうか。
ま、買うのも男が多いのでしょうが(笑)。


それでも、文化財の保存や署名活動のPRもしてくれれば大きな助けになりそうです。
が…、売り出し中にそんな政治かかったの期待するのも可哀想か。
歴史ファンには高感度アップするとは思うけど。


山川の『歴史散歩』とか小学館『全集・日本の歴史』なんかが並ぶなかにあったのでかなり目立ってました。

ま、民俗におけるサンカなんかも昔のサブカルではあるのですが(笑)

そういえば、大食いタレントは最近見かけなくなってしまいましたね。

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戦国奇譚  『首』

首!首!首!

逃げ遅れた敵は、老いも若きもただの「首」。

武士の情け?
そんなものは忘れてしまった。

妻子の糧(かて)、家名の守り、出世、そして己の武名。
身も心も血と汗に浸かった男達が、それぞれの明日の為に首を落とし合う。エゴという剣を以って。
それが、戦い。

だが、修羅道にもルールはある。

法度を犯して首を獲れば、畜生より蔑まれ。
獲らねば、待つは、餓鬼の道。

「首」という果実の誘惑に、男達の人生は翻弄されていく・・・


気鋭の時代作家・伊東潤が描く、戦国リアリズム。
戦国奇譚『首』。
講談社より発売!


遊び心で『装甲騎兵ボ●ムズ』予告の銀河万丈風にしてみました(笑)
ちゃんとした紹介ページはこちら
http://shop.kodansha.jp/bc/books/topics/kubi/

以下はもう少し真面目にレビューというか、感想です。

武功に恵まれない武士が、偶然にも半死の戦友から思わぬ上首を託され・・・「頼まれ首」。
無能な戦友に、獲った首を譲り、出世を逃すばかりか配下となってしまい・・・「雑兵首」。
など、戦場での功、“首”をめぐって翻弄される武士達を描いた短編集(全6編)。


今まで後北条氏や関東の戦国時代を主に、長編時代小説を書いてきた著者によるショートストーリー集。
舞台はおなじみ後北条氏の戦陣。
だが、今回はそれほど北条氏や関東戦国史を知らなくても楽しめる。
時代や大局のドラマではなく、「首」を巡る個のドラマである。

武士(もののふ)は首を獲ってなんぼ。
出世や家族の糧(かて)のためには、どうあっても今日の戦場で首を勝ち獲らねばならぬ。
そんな首への妄執と理性の麻痺が、時に思いもよらぬ結果を生んでしまう。

これまでの長編作品を読んできた人には、それぞれドライな印象を受けるかと思う。
だが、きっとそれは意図的に描かれたものでもあろう。
今までは大局を描いた長編だからこそ、群像それぞれをウェットに描き分ける必要があり、それが読後の余韻にもなった。
本作品群では、余韻よりも、今は昔となった時代の“語らなかった男達の顔”のショットを思い浮かばせてくれる。
額のシワや口ぶりにその男の人生の清濁を感じるように。
私は、そんな読み方で楽しんでみた。

個人的には、『雑兵首』『もらい首』が一番印象に残った。
ただ(枚数が最初から制限されていたのかもしれないが)、一本くらいは中編に仕立てあげてくれた方が、読み方にもリズムの変化があって良かったように思う。
「首」はシリーズ化しても面白いかもしれない。
武士を主人公にしてしまうと、どうしても目的が決まってきてしまうので、首に関わる色んな人を設定しても面白いのではないか。

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宇喜多直家は悪人だったのですか?

本のリサイクル・フェア。

毎年、年度末とかに図書館でやりますね。
先日は地元の図書館で行われてましたのでちょっと寄って来ました。

一部の人が大量に持ち去るのを防ぐために、今回は一人10冊まで。
私は仏教関係をメインに頂きました。

お得に感じたのは、『鎌倉の仏教』(有隣新書)と『妖怪談義』(岩波新書)。
新書って、読まれにくいのか分かりませんが、たぶん未読本。
折り目・手あか汚れ全く無しで、本の角もビシっ。
新書って、図書館じゃ余り借りられないのだろうか。

あと、『歓喜天(聖天)信仰と俗信』(雄山閣)。
これ、以前から軽く一読したいなと思ってたのですが、現在アマゾンじゃ古書で約12000円とエラいぼったくり価格。
これもほぼ未読状態でしたので、ラッキー♪

それと、児童書コーナーで誰にも触られない学習漫画の一群があったのですが、見てみると、『学習漫画「岡山の歴史」』シリーズ(笑)。

なんで小田原市の図書館で岡山の郷土史マンガがあるのか分かりませんが、個人的には(きっと早雲の故郷だからだろう)程度に考えて「戦国時代」編だけ頂いてきました。
帰って見たら、早雲の「そ」の字もありませんでしたけど(苦笑)。
(メインはやはり、三村・後藤・宇喜多)

笑っちゃったのが、巻末の「Q&A」コーナー。
第一門目にいきなり、
「宇喜多直家は悪人だったのですか?」だって。
確かに、郷土の偉人として紹介する場合、子供に聞かれたら困りそうな質問ではある(笑)。

これ分かるなあ。
北条早雲だって、地元じゃ英雄でも、一般的には長らく梟雄扱いされてきましたからね(苦笑)。

で、肝心のアンサーですが、
「…、むしろ見方を変えて、直家のプラスの面を見ましょう」
ということでした。
編者も完全に否定は出来なかったらしい…

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実話怪談 ~錦ヶ浦トンネル~

最近、実話系怪談が流行ってますよね。
実話「系」であって、あくまでもフィクションなのですが。
ホラー好きな自分としては昨今の怪談本ブームは嬉しい限りです。
そのなかでも、今までは加門七海さんの作品は面白く感じていました。
新しい『祝山』もなかなか。

最近では、安曇潤平さんの『赤いヤッケの男』も楽しめました。
雑誌『幽』連載作品の単行本です。
山を舞台にした実話系怪談ですが、筆者が横浜在住の方だからでしょうか。どこかで聞いた様な話もありました。
遭難者がネタなだけに山ではあまりネタにしたくない話ではありますが。

でもあくまで実話系。
体験話のような実話(無論、本人にとってのみの実話ですが)はまたシンプルな怖さがあります。
どこでも起こり得る話だったりもするのですが。

その中で「錦ヶ浦トンネル」の話は、以前に某怪談サイトに投稿して本にも載せてもらいました。
コンビニでも売ってるような二見文庫ですけどね。

ただ、その当時は該当するトンネルの名前を「網代トンネル」と勘違いしておりまして、本にもそのように載ってしまいました。

それが最近になって、ふと思い出しまして。
ロードマップで確認してみたら正しくは「錦ヶ浦トンネル」でした。
地図で見ると、観光アミューズメント(?)の熱海城が立つ山の地下にあたります。
(実は、奇蝶サンが熱海城を日記に書いておられたので思い出したのですw)


東京方面から東伊豆に行く際には通るトンネルですので、旅ネタの一つに如何でしょうか。

・・・・・・・・

体験したのは私ではなく、友人Mです。
結婚前まではウチから歩いて5分ほどの近所でしたので、夜中にビールやお酒を持ってよく雑談しに行っていました。
そんな折に聞いた話です。

大学の友人と伊豆に遊びに行った帰りといいますから、この話はもう10年以上前の事になりましょうか。
友人は助手席に一人を乗せて深夜、国道135号線を小田原へ向かっていました。
時間は午前3時頃だったそうです。

週末の午後や夕方は渋滞するこの道も、さすがに深夜はスカスカ。
曲がりくねった道が多いので、眠くならないようにカセット(懐かしい)の音楽を流し、隣りの友人と話を続けていました。

網代や多賀の人気少ない海岸線は暗く、街頭の灯が道を示すばかり。
しかし、その先、錦ヶ浦のトンネルを抜ければ夜景が美しい熱海港が目の前に広がるはずでした。
もちろん、こんな時間では光量も少ないですが、それでも夜の伊豆ドライブでは楽しみなポイントであります。

錦ヶ浦トンネルは短いトンネルが二本続くトンネルで、途中、東側に名勝・錦ヶ浦へ行ける道が開けています。

そして、友人が「それ」見たのは手前のトンネルの中でした。
車が入ってすぐ、前方の暗いオレンジ色の照明の下、白い浴衣を着た女性が歩いているのが目に入りました。

友人は最初、温泉客が夕涼みしてるのかと思ったそうですが、この時間に女性一人というのも変です。
何より変だったのは、トンネルの歩道に沿って歩いてるのではなく、道路をトボトボと横切っていた事でした。
もちろん、酔った人なら危ないことです。

それまで霊体験など全く無く、私が企画した肝試しでも「霊なんているわけない」と言っていた友人です。
この期に及んでも霊だとは思っていなかったのでした(笑)。

ともかく、へたに酔っ払いを引っかけでもしたらたまらないので、ややスピードを上げてトンネルを抜けようとしました。
距離があっという間に縮んでいきます。

そして、ようやく気がつきました。
その女性は裸足だということと、頭に何か白いものが乗っている事に。

あいにく、天使の輪ではありませんでした(笑)。
三角形の被り物でしたとさ(爆)。

こうなると理屈云々ではなく、本能的な恐怖といいましょうか。
尾てい骨から頭頂部まで冷たい空気が一気に上っていくアレです。
総毛立つというか、ゾーッというやつ。
いや、あの瞬間はホントに凍りますよね。
チャクラが開くときもあんな感じなのでしょうかね(笑)。

まあ、その瞬間、友人はそんな冗談ぶっこける状況では無いわけです。

(こりゃ、ヤバイ!)
本能的に察した彼は、一気にトンネルを抜けようとさらにアクセルを踏みました。
が、そのヤバイと思った瞬間でしょうかね。
意思が同通しちゃったというか。
あちらさんが振り向いて、スーッと高速で向かって来ちゃったそうなんです。
そして、あっと言う間に直前。
その方はフロントガラスを舐めるように後ろへ流れて行っちゃいました。友人曰く。

その瞬間、フロントガラス越しにもう数十センチの距離でご対面♪
人相は、
「なんつーか、全体的に白いボンヤリした顔で、そこに暗い点みたいな目が開いてる感じ」
ということです。

私も丹沢の山奥で一回遭遇しちゃった事がありますが、やっぱりそんな感じでしたから、彼の言う「感じ」は分かる気がします。
目玉とか瞳孔とかではなく、自分の心の目と合っちゃうみたいな寒気です。

そんな光景は助手席の友人も見てしまったようで、トンネルを抜けたはいいが、さっきまでの楽しいお喋りムードはどこへやら。
熱海の夜景など目にも入らず、ほぼ無口のまま家の近くまで送って別れたそうです。
で、その際ようやく
「おい、アレってさ、・・・アレだよね?」
「・・・うん」
と、お互いが見たことを確認したのでした。

初めて見たときというのは、それについて語るのも怖かったりするんですよね。
また出そうで。
なんか、見張られているような気というか。


・・・・・・・


まあ、友人Mも大層ビビっておりました。
私が面白がってその話を茶化したりすると、「マジで怖いんだからな!」とお札にぎってましたから。


で、この話にはまだ続きがあるのですが、また次回ということで。

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スカート付

先月末から今月にかけて、本をチョコチョコ買ってます。
まあ、各社のブックフェアに上手く乗せられてるというのもあります(笑)。
特に、角川文庫から再販された、横溝正史の『髑髏検校』は惹かれました。
カバー絵はたしか京極夏彦氏のデザイン。
不気味な月影は個人的にも好み。
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200802000543


先月は久々にマンガを買いました。
こっちも角川なんですが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の17巻。
月刊誌の連載なんで、ホント忘れた頃に発刊される感じです。
まあ、基本的に1stガンダムなのでストーリーが待ち遠しいというわけではないのですけどね。

今回から「ララァ編」です。
映画でいうと、「めぐりあい宇宙」冒頭のキャメル艦隊全滅から、コンスコン隊撃破までの内容。
もちろん、酸素欠乏症の親父(&自称強化パーツ)も出てきます。

本作ではリックドムも大活躍(やられ役)。

私の好きなガンダムキャラでは10指に入るドレン大尉もキャメル(ムサイ級)と共に宇宙の塵に・・・。合掌。

Photo


で、『日本妖怪大百科』は本号(10巻)で完結。
最後は都市伝説や現代妖怪がテーマでしたが、口裂け女や人面犬、赤マントなどは現代というより20世紀末な妖怪というのが正しいかも。

口裂け女が今では韓国にまで上陸しているというのはオドロキでした。

できれば、携帯電話やパソコンを通じて広まる現代ホラーや都市伝説をもう少し取り上げて欲しかった気がしますが、ライトな雑誌としては面白かったと思います。

『リング』の貞子も気がつけば20世紀最後の妖怪ですね。
(元ネタはもっと昔というのは置いといて)
あ、妖怪じゃなくて幽霊?ビデオ怨念?
いずれにせよ、もうビデオテープに怨念残しても誰も見てくれないかも。
まあ、DVDもダビング10が出たので、またシステム変えて登場するのかもしれませんな。

海賊版DVDやネットを通じて貞子の怨念が中国で大増幅、なんてグローバルな展開したら面白そうなのだけど。
最終的には道士と対決みたいな。
(うーん、貞子あっけなく負けそう 笑)

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手を出してしまった・・・日本妖怪大百科

『戦国覇王』で消耗して以来、この手のパートワークの定期刊行物はもう手を出すまいと思っていたのに、600円の手軽さと死角をついたようなテーマ、そして月刊というお気楽さに負けてしまった・・・。

まあ、いいか。月600円だし。
立ち読みした時、中高生の頃に読んでいた学研の『ムー』を久々に手に取ったような、そんなワクワク感を感じてしまったのだな。
単なるお化け図鑑でなく、民俗学的解釈や絵図における洒落などにもさらっと触れている。
もちろん、写真が飛び切りデカイので文字数情報量は微々たるものだが、そんなものはこの手の雑誌に求めていないので結構。
写真も、よくある写真プロダクションや観光協会などの借り物ではなく、現地ロケのオリジナル作品が多いので好感触ではあった。

創刊に限って、一号と二号の同時発売。
一号は河童がテーマで、二号は鬼。
次号は天狗で、これまた楽しみ。
というか、最も興味深いテーマの一つであったりして。
刊行予定は全巻で10冊とこれまた控え目。
揃えてしまおうかな、とかなり迷っている(笑)。


それにしても『戦国覇王』は・・・。
亜鉛合金製の着色済み戦国武将フィギュアのコレクションシリーズ。
75号全巻そろえましたが、週刊で各巻1800円弱は意外と辛かった・・。
発行はデルプラドジャパン(代理店扶桑社)。
欧米などではミニカーやヒストリーフィギュアなどでかなり前から知名度が高いのだけれど、日本では結局、寿命短く倒産してしまった。
それも、『戦国覇王』の途中で破産宣告。
以後は書店予約者のみの販売となったので、なんだか会員制の冊子を購入していたような気分でした。
それに、毎号がフィギュアの保護箱になっているため、がさばることこの上ない。一つで『市史』とか並の厚さなので、二三週間本屋に行けなかったりすると本屋の方でも置き場に困っていた模様。
そんな武将フィギュア達も、今ではずらりと飾り棚の中に居並んで、見慣れた光景となっている(笑)。

それにしても、大して売れ行きも無かったと思われるのに、よくも75号まで出したものだと思う。
今後もこれだけの規模では商品化されることは、もう無かろう。
まあ、人形は中国で着色されていたようだから(鉛が入ってるかもw)、大量に発注してしまったからには最後まで売り切らないといかんのだろうけど、こんな前例の無い企画だけに最初は月刊で10号くらいまで様子見するべきだったのではなかろうか。

ラインナップとしては、有名どころの信長・秀吉・家康とその重臣や関ヶ原の武将たち、信玄・謙信に中国・四国・九州の武将などだけでなく、秋田実季や津軽信為などといった全国的な知名度では低めの武将なども出ていたのが面白かった。
北条家については、早雲が出たので喜んでいたら、氏康も商品化。感激のあまり喜びのメールをデルプラドに送ってしまった(笑)。
ただ、関東の武将としては少なめで、ほかには佐竹義宣くらいか。
全体的に戦国末期の武将シリーズではあるが、早雲も出たので太田道灌も出るかと期待はしていたのだが、こちらは出なかった。
あと、南蛮服の支倉常長や、甲冑にロザリオを着けたキリシタン大名・大村純忠などもあり、バラエティ豊かな造形で楽しませようという、企画者の意図が今でもフィギュアから感じられる。


『覇王』の話の方が懐かしさのあまり長くなってしまったが、ともかくこれに懲りて以後、週刊百科などはなるべく買わないようにしている。
一つ買うと、他のも欲しくなるから。
それでも、時々、衝動的に一冊買ってしまったりするのだが。

しかし、何故に寺や仏像を扱ったモノが多いのだろうか。
以前も複数の社で「日本の城」などを出していたが、「世界の城」とか「世界の甲冑」なんてのも面白いと思うのだが。

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カレー講座

最近、カレー講座が各地で催されて好評らしい。
大概、都心方面で数回に分けての開催なので自分などは羨ましがっているだけではあるが、また久々にインド人やネパール人の友人の店に行って、レシピを教えてもらおうかと。
ついでに業務用スパイスも分けてもらおう(地方で小売モノは高価なのですよ)♪

最近読んだ本で面白かったのはこれ(↓)
『インドカレー伝』(河出書房新社)

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E4%BC%9D-%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%A0/dp/4309224571/ref=sr_1_1/503-1486155-8110347?ie=UTF8&s=books&qid=1185114556&sr=1-1

原初は英国で書かれたものなので、チキン・ティッカ・マサラやコルマ、ヴィンダルーなどの生まれた話などが詳細に紹介されている。
特にチキン・ティッカ・マサラの発祥などは、ホントかね?と思うような内容だったのだけれど、サンドイッチの国ならありかなとも思った。
ヴィンダルーの項などは、ポルトガルの西インド沿岸支配の歴史なども併せて勉強になりました。

日本では戦国時代に重なるのだけれど、マカオ経由とかで日本人奴隷もゴアに行っていたかもしれない。
そうなると、日本人で初めてカレーを食べた人は明治の文明開花の頃よりもっと過去まで遡るのだけれど。

レシピも付されていて実用的なのですが、スパイスに関しては中華名と英語名でも併記してくれるともっと嬉しかった。

それにしても、アマゾンでレトルトカレーも買えるんですねぇ(笑)。はじめ「インドカレー」で検索したら、中村屋のレトルトセットが(笑)。

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今日の立ち読み

帰宅途中、駅ビルその他の複数書店にて本を物色。
結局、4時間ほど手にとっては戻しを繰り返し、買う気になるまでのモノと出会えず。
が、暫し立ち読みに興味を覚えたもの幾つか。参考にもならない感想だが、己へリマインドの為記す。

『わたしの城下町―天守閣からみえる戦後の日本』(著・木下直之)
前半の章のうちの一つに戦後の小田原城天守復興などに関する記載があった。
○小田原城天守も今や悪名高い「昭和の天守ブーム」の一つで建てられたコンクリート天守(そして正確とは言えない再現度)であるが、それらの多くは戦後の地域復興のシンボルとしてむしろ観光客よりも地元民へ向けたアピール性が強くあった事(ただ、小田原に関して言えば、城址の復元事業は戦前からすでに始まっていた)。
○城址公園と象(小田原城址公園は梅子)という奇抜な組み合わせは、実は共に戦後復興のシンボルであり、当時は各地の城址公園などにも象の巡業があったらしい事。象は戦時中の動物園における悲しい事件(治安の為殺処分もしくは衰弱死)の象徴でもあった。
○ゆえに、今の小田原城址公園の姿(コンクリ天守と動物園)は郷土の戦後史を伝えるものでもあり、長らく市民の心の拠り所となった場所として評価すべき存在である事。

特にこの最後の、戦後に果たした城址のあり方は大変新鮮な見方を与えてくれた。小田原城は、戦国時代以来、軍事拠点>藩庁>皇室御用邸と来て、第二次大戦後は「市復興のシンボル」の公園という存在であったのだ。だが今、それもまた過去の歴史区分となりつつあるということだろう。文化的意識の高まった今、国史跡は文字通り国民共有の財産であり、観光だけでなく、ある程度の学術的観覧に耐え得る本物が求められている。
(まあ、今は財政ピンチなので無理して急ぐ必要も無いと思うが)

価格は2940円。紀行形式の回想文は読みやすいが、やや高額に思えた。ハードカバーでなくても良かった。
また、小田原駅の小便小僧像の来歴に関しても記されているが、その前で立小便(のフリ?)の写真は如何なものだろうか(笑)。


『おいしいハンバーガーのこわい話』(著・エリック シュローサー, 訳・宇丹貴代実)
読むほどに暗く、ファーストフードに関する印象が悪くなる本書だが、体裁そのものは軽く読みやすい。
ハンバーガーに限った事ではないだろうが、ナゲットなどに使う鶏肉工場のオートメーションの様子は正直ショックを受けた。
しっかり読んだら、暫くこの手の外食には食欲が出なさそう。

『鎌倉スーベニイル手帖―ぼくの伯父さんのお土産散歩ブック』(著・沼田元氣)
アンティークな服を着たモデルが鎌倉各地を散歩、という感じの写真で構成された鎌倉ミニガイド。レトロ可愛げなデザインで纏められている。ガイドの情報量は大したこと無いので、むしろ鎌倉でレトロ気分を味わいたい人向けな写真本?。雰囲気としてはアンティークキモノの雑誌っぽいかな???(そこまでモデルが前面には出ないのだけど)
付録にイラスト地図。
表紙の鱗尽くしに親子のシルエットに何とも食指を動かされたが、2625円。別にこの写真家のファンでもないので、結局、棚に戻して書店を発った。

結局、買いたかった本というのは、横溝正史の小説。
『孔雀屏風』が収録されている文庫でもないかと探したのだが、結局無かった。アマゾンで探した方が早いかも(笑)

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