最近、実話系怪談が流行ってますよね。
実話「系」であって、あくまでもフィクションなのですが。
ホラー好きな自分としては昨今の怪談本ブームは嬉しい限りです。
そのなかでも、今までは加門七海さんの作品は面白く感じていました。
新しい『祝山』もなかなか。
最近では、安曇潤平さんの『赤いヤッケの男』も楽しめました。
雑誌『幽』連載作品の単行本です。
山を舞台にした実話系怪談ですが、筆者が横浜在住の方だからでしょうか。どこかで聞いた様な話もありました。
遭難者がネタなだけに山ではあまりネタにしたくない話ではありますが。
でもあくまで実話系。
体験話のような実話(無論、本人にとってのみの実話ですが)はまたシンプルな怖さがあります。
どこでも起こり得る話だったりもするのですが。
その中で「錦ヶ浦トンネル」の話は、以前に某怪談サイトに投稿して本にも載せてもらいました。
コンビニでも売ってるような二見文庫ですけどね。
ただ、その当時は該当するトンネルの名前を「網代トンネル」と勘違いしておりまして、本にもそのように載ってしまいました。
それが最近になって、ふと思い出しまして。
ロードマップで確認してみたら正しくは「錦ヶ浦トンネル」でした。
地図で見ると、観光アミューズメント(?)の熱海城が立つ山の地下にあたります。
(実は、奇蝶サンが熱海城を日記に書いておられたので思い出したのですw)
東京方面から東伊豆に行く際には通るトンネルですので、旅ネタの一つに如何でしょうか。
・・・・・・・・
体験したのは私ではなく、友人Mです。
結婚前まではウチから歩いて5分ほどの近所でしたので、夜中にビールやお酒を持ってよく雑談しに行っていました。
そんな折に聞いた話です。
大学の友人と伊豆に遊びに行った帰りといいますから、この話はもう10年以上前の事になりましょうか。
友人は助手席に一人を乗せて深夜、国道135号線を小田原へ向かっていました。
時間は午前3時頃だったそうです。
週末の午後や夕方は渋滞するこの道も、さすがに深夜はスカスカ。
曲がりくねった道が多いので、眠くならないようにカセット(懐かしい)の音楽を流し、隣りの友人と話を続けていました。
網代や多賀の人気少ない海岸線は暗く、街頭の灯が道を示すばかり。
しかし、その先、錦ヶ浦のトンネルを抜ければ夜景が美しい熱海港が目の前に広がるはずでした。
もちろん、こんな時間では光量も少ないですが、それでも夜の伊豆ドライブでは楽しみなポイントであります。
錦ヶ浦トンネルは短いトンネルが二本続くトンネルで、途中、東側に名勝・錦ヶ浦へ行ける道が開けています。
そして、友人が「それ」見たのは手前のトンネルの中でした。
車が入ってすぐ、前方の暗いオレンジ色の照明の下、白い浴衣を着た女性が歩いているのが目に入りました。
友人は最初、温泉客が夕涼みしてるのかと思ったそうですが、この時間に女性一人というのも変です。
何より変だったのは、トンネルの歩道に沿って歩いてるのではなく、道路をトボトボと横切っていた事でした。
もちろん、酔った人なら危ないことです。
それまで霊体験など全く無く、私が企画した肝試しでも「霊なんているわけない」と言っていた友人です。
この期に及んでも霊だとは思っていなかったのでした(笑)。
ともかく、へたに酔っ払いを引っかけでもしたらたまらないので、ややスピードを上げてトンネルを抜けようとしました。
距離があっという間に縮んでいきます。
そして、ようやく気がつきました。
その女性は裸足だということと、頭に何か白いものが乗っている事に。
あいにく、天使の輪ではありませんでした(笑)。
三角形の被り物でしたとさ(爆)。
こうなると理屈云々ではなく、本能的な恐怖といいましょうか。
尾てい骨から頭頂部まで冷たい空気が一気に上っていくアレです。
総毛立つというか、ゾーッというやつ。
いや、あの瞬間はホントに凍りますよね。
チャクラが開くときもあんな感じなのでしょうかね(笑)。
まあ、その瞬間、友人はそんな冗談ぶっこける状況では無いわけです。
(こりゃ、ヤバイ!)
本能的に察した彼は、一気にトンネルを抜けようとさらにアクセルを踏みました。
が、そのヤバイと思った瞬間でしょうかね。
意思が同通しちゃったというか。
あちらさんが振り向いて、スーッと高速で向かって来ちゃったそうなんです。
そして、あっと言う間に直前。
その方はフロントガラスを舐めるように後ろへ流れて行っちゃいました。友人曰く。
その瞬間、フロントガラス越しにもう数十センチの距離でご対面♪
人相は、
「なんつーか、全体的に白いボンヤリした顔で、そこに暗い点みたいな目が開いてる感じ」
ということです。
私も丹沢の山奥で一回遭遇しちゃった事がありますが、やっぱりそんな感じでしたから、彼の言う「感じ」は分かる気がします。
目玉とか瞳孔とかではなく、自分の心の目と合っちゃうみたいな寒気です。
そんな光景は助手席の友人も見てしまったようで、トンネルを抜けたはいいが、さっきまでの楽しいお喋りムードはどこへやら。
熱海の夜景など目にも入らず、ほぼ無口のまま家の近くまで送って別れたそうです。
で、その際ようやく
「おい、アレってさ、・・・アレだよね?」
「・・・うん」
と、お互いが見たことを確認したのでした。
初めて見たときというのは、それについて語るのも怖かったりするんですよね。
また出そうで。
なんか、見張られているような気というか。
・・・・・・・
まあ、友人Mも大層ビビっておりました。
私が面白がってその話を茶化したりすると、「マジで怖いんだからな!」とお札にぎってましたから。
で、この話にはまだ続きがあるのですが、また次回ということで。
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