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日光一文字

九州まで出張ることなくこれらを見る機会が来るとは・・・。
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昨日は休みというともあり、始まったばかりの特別展『軍師・官兵衛』展を江戸東京博物館に観に行ってきました。もちろん、第一の目的は官兵衛さんではなく、北条家ゆかりの品々。
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福岡市博物館に収められている黒田家旧蔵の「太刀“日光一文字”」や「北条白貝」「琵琶“青山”」などが揃って関東へお出ましなのですから。

大河ドラマ『軍師・官兵衛』の第1話冒頭および本編後の紀行コーナーで紹介されたエピソードですが、これらは豊臣秀吉の小田原攻めの際に調停役として赴いた黒田官兵衛に北条方が礼として与えたと伝わっているもの。
実際には色んな人が籠城中の北条氏へ働きかけたでしょうし、官兵衛もドラマのようにあんな一人颯爽と城門前(井細田口でしょうか?)に立ったとは考えにくい。たぶん、後に氏直が投降する滝川雄利らと共にアポ入れて入城しているはず。
それでも、これら北条家累代の家宝が与えられるというのは、やはり相当な感心を起こさせる人物だったのでしょう。ただ、領国安堵と氏政・氏直父子の助命を確約した可能性を考えると、色々と複雑な思いになるのではありますが…。

展示構成は、①播磨時代(黒田職隆書状や織田信長黒印状、・安土出土遺物など)、②有岡城幽閉(秀吉書状、竹中重治書状、黒田家臣起請文、家臣像など)、③秀吉統一時代(明智光秀坐像、阿弥陀寺位牌拓本、本能寺跡出土遺物、“日光一文字”など)、④如水時代(肥前名護屋城図、白熊采配、水牛脇立兜(前後期入替)、黒田長政像など)、⑤文雅たしなみ(芦屋釜、利休書状、和歌短冊など)といった流れ。
黒田官兵衛の文書類は、テーマに合わせての10点ほどでしたでしょうか。
家臣関係では、東京巡回展では、母里友信関連のもの(槍“日本号”や甲冑、像)が少ないのがやや残念なところ。日本号は以前に国立博に来てた時に見た記憶がありますが、大分前の事ですし。

今回、個人的に興味深かったのは・・・
【岐阜城出土の金箔押棟板瓦片】(信長が安土以前から瓦に金を使っていた事が分かった貴重な発見)、岐阜市教委。
【播磨三木合戦図】(別所氏菩提寺・法界寺で現在も追悼法要で絵解きに使われる絵の模写(江戸期)、威儀正しい別所氏や家臣らの合戦の模様や、痩せ衰え自害に及ぶまでドラマチック)、兵庫県歴博。
【明智光秀坐像】京都・慈眼寺。
【阿弥陀寺位牌拓本】(本能寺変で討死した信長信忠ほか家臣らの俗名と戒名を併記)同寺。
【羽柴秀吉大坂築城石持掟書】(石を運ぶものは、より重い石を持つものに道を譲れとか、喧嘩をふっかけるなとか、作業に細やかな指示)、兵庫県・光源寺。
【小田原陣之時街道筋諸城守衛図】(京から三島辺りに至るまで秀吉が泊した城や街道の景色などを描く図。富士山や箱根双子山、厳に柵廻らす山中城のほか、安土に立ち寄ったことなども記す、街道見聞絵図でもある)、山口県文書館。
…等々のあたりでしょうか。官兵衛や黒田家に直接関係のあるものではないですが。

黒田官兵衛関連のものとしては、やはり書状の類でしょうか。
本文の他に追筆が多かったり、歴史ある寺には丁寧な言葉を用いたりなど、配慮の細やかさを感じました。
まあ、今回出された書状の類は子息や家臣らに宛てたものが多いので、当然と言えばそうなのですが、当時も“委細は誰々(手紙を持参した使いの家臣)が…”と簡潔に締め括る文章が多かったでしょうし。
あと、人物像の作例も多い人なのですね。
ポスターにも使われている江戸後期の絵のほか、有名な脇息にもたれかかる絵も数種類あるようでした。これらは展示期間中に入れ替えられるようです。
一方、夫人(照福院)像(京都・報土寺蔵)は、7月1~13日のみの展示で、それ以外はパネル写真のようです。

私は北条氏ゆかりの品目的で観に行ったのですが、織田・豊臣関係の一つの通史展示としても楽しめるかと思います。お近くの方は足を運んでみては。
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/special/2014/05/index.html
6月18日には、斎藤慎一氏の講演「豊臣政権と小田原合戦」(要申し込み)もあるので、それに併せても良いかも。締め切りは5月30日、もう明日ですが。

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江戸博に来たのも久しぶりでした。前回は江戸城展あたりだったろうか。

両国駅もその時以来。
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駅頭は近辺の開発の歴史を如実に示す景色ですね。後ろに国技館の屋根とスカイツリー。
とても駅らしい駅舎で、地域に愛されてそうです。

あと、図録のほか、お土産に買った城郭用語クリアファイル(部分)。
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昨今、こんなのまで商品になるんですね。この頃は戦国時代関係の展示があると、公式グッズ以外の商品が充実していて驚かされます。
これも公式グッズではなく、もしかしたら小田原城の売店でも売ってるかもしれません(笑)

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