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2013下谷七福神めぐり(5)弁財天

下谷七福神の寺社は、今まで何度か参拝しているところが殆どだが、この弁天院だけは、今回が初訪問。
加えて、由緒がなかなか興味深かったので、今回の七福神巡りでは一番楽しみにしていた所であった。

法昌寺からは徒歩15分ほど。
大通りはあまり好きではないのだが、初めての地なので迷わぬよう、昭和通りを北上し、東京トヨペットを過ぎて二つ目の角から裏道へ。小さな事務所ビルが立ち並ぶ通りを進むと、五叉路の一角に小さな公園があって、そこに弁天堂が立っていた。境内の一角が公園に供されていると言うべきなのかもしれないが。

朝日弁財天。寺号は、朝日山弁天院(曹洞宗)。
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両脇の銀杏が黄葉する頃は趣きもまた違っている事だろう。

この朝日弁財天は、上野不忍池の弁財天と姉妹弁天とされている。

上野の東叡山寛永寺が江戸の比叡山、清水観音堂が江戸の清水寺と見立てて建立されたように、不忍池の弁天堂もまた琵琶湖の竹生島弁財天になぞらえて中之島を造りお堂が建てられたのは良く知られている。
その中之島造成を担当したのが、常陸下館藩主の水谷勝隆だったのだが、彼は江戸の下屋敷内にも池と中島を設けて弁財天を勧請し屋敷神として信仰していた。それをもって、上野の東方にあたるこの弁財天に朝日を冠したのだという。

ちなみに、水谷勝隆は後に備中松山藩主に転ぜられ、以後三代に渡り松山藩主を務めている。天守をはじめ国重文となっている備中松山城の現在の姿が整えられたのは、勝隆の子・勝宗が藩主の時代であった。
三代勝美には継子無く、藩は断絶するが、旗本となっていた一族が名跡と知行を継いでいる。

下屋敷の地は面積約2万坪あり、そこに2千4百坪の広さの池と約50坪の琵琶形の中島が設けられていた。
明治の初めに水谷氏が土地を手放して以降も、池の景観は残され、長い木橋が架けられた島には松柏の大樹が鬱蒼としていたという。周囲には瀟洒な別荘などが建てられ人気の場所だったようだ。


そのように愛された池も、大正12年の関東大震災の後、東京市の要請によって、近隣区等からの焼土を処分する埋立地となってしまった。現在では、この小さな池と石橋が往時を偲ぶよすがとなっている。
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突き出したパイプから池に流れる水は湧水なのだろうか?
池には金魚が泳ぎ、意外と綺麗そうな水だった。

池を渡る反り橋。小さな橋だが、これが有るか無いかで、弁天堂らしい佇まいが大分変わると思う。
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弁天堂の中。
ガラス越しの遠目にだが、開扉した厨子に八臂弁財天像が見えた。何度も罹災した弁天さまなので、お像は比較的新しいのかもしれない。あくまで遠目に見た感じだが。
弁財天の神徳は、芸道・富有・結縁。
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本尊はこの弁財天のほかに、釈迦如来像が並び祀られている。
こちらは、昭和28年の宗教法人法の施行に伴い、曹洞宗の朝日山弁天院と号した時に本尊として祀ったものらしい。

隣に立つ弁天会館の貼り紙。
弁天院は近隣住民の管理による無住寺で、正月以外は、平日の午前中のみ参拝客の対応をしているようだ。
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ご朱印はこれらのお寺でも受けられるが、書置きやご尊体なら、この貼り紙横のボックスにしまってある。

代金は、ボックスに準備してあるプラ袋に入れて、賽銭箱に捧げるよう書いてある。
私は、ご尊体(400円)と由緒書(10円)を頂いたが、説明をよく読む前だったので、直にに代金を賽銭箱に入れてしまった。まあ、賽銭箱は毎日チェックするだろうから、分かってくれると思うが。
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残念だったのは、絵馬が無い事だろうか。
下谷七福神のうち、絵馬が無いのはここだけだった。
地域で共同護持のお寺なので、オリジナル授与品などを制作するのが難しいのかもしれない。


次に恵比寿神さんの飛び不動尊へは、公園前の道からまっすぐ国際通りの方へ出て行けばよかったのだが、途中で軽食した後方角を間違えてしまい、鷲神社の前に出てしまった。
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酉の市でお馴染だが、門前に年中立てられている飾り熊手が、今日は七福神の宝船に見える(笑)
こちらは「浅草名所七福神」の一つで、寿老人を担当している。
せっかくなのでお参りさせて頂いた。

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拝殿前には大きなお多福(おかめさん)面が。
額の「開運」の二文字もあって、おめでたい。

拝殿内なので撮っていないが、こちらで寿老人のお像を拝む事ができた。
下谷七福神では、今回最初に参拝した元三島神社が寿老人(寿老神)担当だが、正月をとっくに過ぎていたので拝観できなかったのだった。
で、何だかありがとうございます、と思って手を合わせていたら、賽銭箱前の祝詞が記してある板がパタリと倒れてちょっとビックリ。まあ、風が強かったのだけど。

正月以外に下谷七福神巡りをされる方は、鷲神社にも寄ってみると良いかもしれない。ほんの少し寄り道するだけで、七福神ご神像の拝観がコンプリートできるのだから。

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