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戦国奇譚  『首』

首!首!首!

逃げ遅れた敵は、老いも若きもただの「首」。

武士の情け?
そんなものは忘れてしまった。

妻子の糧(かて)、家名の守り、出世、そして己の武名。
身も心も血と汗に浸かった男達が、それぞれの明日の為に首を落とし合う。エゴという剣を以って。
それが、戦い。

だが、修羅道にもルールはある。

法度を犯して首を獲れば、畜生より蔑まれ。
獲らねば、待つは、餓鬼の道。

「首」という果実の誘惑に、男達の人生は翻弄されていく・・・


気鋭の時代作家・伊東潤が描く、戦国リアリズム。
戦国奇譚『首』。
講談社より発売!


遊び心で『装甲騎兵ボ●ムズ』予告の銀河万丈風にしてみました(笑)
ちゃんとした紹介ページはこちら
http://shop.kodansha.jp/bc/books/topics/kubi/

以下はもう少し真面目にレビューというか、感想です。

武功に恵まれない武士が、偶然にも半死の戦友から思わぬ上首を託され・・・「頼まれ首」。
無能な戦友に、獲った首を譲り、出世を逃すばかりか配下となってしまい・・・「雑兵首」。
など、戦場での功、“首”をめぐって翻弄される武士達を描いた短編集(全6編)。


今まで後北条氏や関東の戦国時代を主に、長編時代小説を書いてきた著者によるショートストーリー集。
舞台はおなじみ後北条氏の戦陣。
だが、今回はそれほど北条氏や関東戦国史を知らなくても楽しめる。
時代や大局のドラマではなく、「首」を巡る個のドラマである。

武士(もののふ)は首を獲ってなんぼ。
出世や家族の糧(かて)のためには、どうあっても今日の戦場で首を勝ち獲らねばならぬ。
そんな首への妄執と理性の麻痺が、時に思いもよらぬ結果を生んでしまう。

これまでの長編作品を読んできた人には、それぞれドライな印象を受けるかと思う。
だが、きっとそれは意図的に描かれたものでもあろう。
今までは大局を描いた長編だからこそ、群像それぞれをウェットに描き分ける必要があり、それが読後の余韻にもなった。
本作品群では、余韻よりも、今は昔となった時代の“語らなかった男達の顔”のショットを思い浮かばせてくれる。
額のシワや口ぶりにその男の人生の清濁を感じるように。
私は、そんな読み方で楽しんでみた。

個人的には、『雑兵首』『もらい首』が一番印象に残った。
ただ(枚数が最初から制限されていたのかもしれないが)、一本くらいは中編に仕立てあげてくれた方が、読み方にもリズムの変化があって良かったように思う。
「首」はシリーズ化しても面白いかもしれない。
武士を主人公にしてしまうと、どうしても目的が決まってきてしまうので、首に関わる色んな人を設定しても面白いのではないか。

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