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石垣山採石遺跡見学

10日ほど前だったか、もう少し前だったか。石垣山の北、関白沢沿いで、石垣用石材の採石遺跡が見つかったと連絡があった。以前から行なわれていた道路拡張工事だが、その道路の間近で、切り出した石を運ぶ道跡や廃棄された石(いわゆる残念石の類)などが露わになったのだという。残念ながら、すでに工事により一部が破壊されており、行政による遺構の一般公開や保存などは予定されていないとの事。
とまあ、そういうことなので、急遽、同遺跡の見学会が催されたのであった。

私はk氏をお誘いして参加。見学会は午後1時からである。
この辺りを歩くのは数年ぶりなので、私たちは先に風祭界隈をぶらぶらしてから集合場所へ行く事にした。
私はこの風祭の雰囲気がなかなか好きである。
木造のちいちゃくてレトロな駅。
旧東海道のおもかげと、そこから正面に見える富士山(ふじやま)。
路地裏や脇を流れる水路(ホタルが見える箇所もある)。
点在する石仏群(このあたりは古くから石工が住んでおり、伊豆系・甲州系・関東系の石仏文化が混在するポイントでもあるのです。あちこちに点在する石仏は味わい深いものが多い)
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そのほか旧傷痍軍人箱根療養所(現・国立療養所箱根病院)の洋風木造建築など、道沿いのどこか懐かしい光景は散歩していて飽きない。
今までこの旧道は、渋滞する国道1号線の伏線として車の往来も忙しかったが、今年になり小田原厚木道路と箱根新道が接続されたので、かなり改善されたのではないだろうか。

紹太寺大門跡を横目にもう2、3分ほど歩くと、入生田駅である。
ここで今日の見学会一行と合流した。
予想していたよりもかなり大所帯である。
例の如く高齢者が多いようだが、それでもこういう遺跡に興味と関心がある人が大勢いるというのは嬉しいものだ。
地球博物館横の道から早川沿いに進み、太閤橋を渡る。
この道も最近までなかったはずだが、いつのまにか立派な道が開通していた。
河川敷沿いには確か、くず鉄屋のような小集落があって、廃車がたくさん置いてあったのだが、それも綺麗さっぱりなくなっていた。
太閤橋は、石垣山北の「太閤沢」という涸れ沢が早川に合流する地点にかかっている。
そして、この沢沿いのミカン農道を拡張造成する工事が現在行なわれている。もしや、入生田から石橋方面に抜ける道を計画しているのかも。
まあ、それはそれで便利になるし、一夜城遺跡の観光客も少しは増えるかもしれない。だけど、それで歴史遺構がまた一つこの世から消えていくのは皮肉なものではある。

さて、採石遺跡というのは、この農道を登ったところである。
すでに道沿いには廃棄された石垣石が置かれて、簡単な説明板が設けられている(これは大分前からあったけど)。
その道が大きくカーブしようとするところに、石曳き道の跡が見つかったのであった。
石材を修羅で降ろした直線的な道で、ここから早川沿いに降ろして海岸方面に運んだのだろうと思われるが、道跡が良く残っている。旧農道はこれに併行するように出来ているから、この石曳き道も長らく使用されていたのではなかろうか。
すでに多くは、新旧の農道によって大消滅していたが、このカーブの内側と外側にはまだ僅かに残っている。
願わくはこの一部分だけでも、保存して説明板の一つでも設置していただきたいものである。
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また、この付近には切り出し途中で放棄された石や、運搬中に転落して放棄された石垣石が数多く点在する。
大名などが担当する帖場の境界を示す刻印なども明瞭に残っているが、それらの石は比較的縦のラインで並んでいるので、標示石として意図的に残されていたものかもしれない。

さて、せっかく一般向けの道路が開通するのなら、ついでにこうした遺物も大事にしてもらいたいものである。
ただ、お役所のセンスで変に整備しすぎると却って原風景を損なう恐れがあるので、ごく普通のハイキングコースと説明板を設置するだけで良いと思う。幸い、刻印石が点在するあたりは新道路とかぶらない場所だ。

ちなみにこれら採石遺跡は、豊臣秀吉築城の一夜城には、直接関わるものではない。
あの時代は基本的に自然石を効果的に積み上げた「野面積(のづらつみ)」石垣であって、現在の一夜城遺構からもノミ穴などは殆ど見られない。積み上げの為の加工などは多少あったとは思うが。
ただ、もともと石材が豊富な山であったのは事実である。現に、この山地の海側一帯は小松石や真鶴石に代表される高級石材の産地である。
ということで、切り出し石は江戸築城に際して用いられたものなのであった。
後世の「石垣山」という名称も、城跡のみならず、こうした大事業があったからこそ名付けられたのであろう。

見学会は数時間で終了したが、私とk氏は城址を見学してから山を下った。

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